さて、今日は総需要曲線のお話です。
図4_AS-ADモデル

総需要曲線(AD)は、短期総供給曲線(SRAS)とは逆に右下がりになっています。この理由は主に2つあります。

まず1つめは、物価が上がると手持ちのお金で買えるものが減るので「実質」で考えると消費が減少するということです。これを資産効果といいます。
2つめは、物価が上がると同じものを買うために以前より多くのお金が必要になるので、銀行から余分にお金を引き出す必要があります。そうすると銀行全体で預金額が減少し、お金を借りたい人に対して貸すための資金が減少するので、金利が上昇します(高い利子を払ってでも借りたいという人だけが借りられるようになる)。金利が上昇すると企業の投資が抑えられてGDPが減少することになります。これを利子率効果といいます。

SRASとADの説明をしてきましたが、この2本の曲線の交点で物価水準と実質GDPのバランスが取れて落ち着く(均衡するといいます)ことになります。

さて、これでシンプルなAS-ADモデルのグラフが理解できましたので、もう一度財政出動の効果について見てみましょう。
図3_AS-ADモデル_総需要曲線のシフト

前の記事でGDPの内訳として、消費、投資、政府購入、純輸出があると説明しました。例えば公共事業で道路を建設するとしましょう。そうすると政府が建設会社から道路建設というサービスを買うことになるので政府購入の金額が増加し、実質GDPが増えることになります。
ここで注意が必要なのは、AD曲線上の移動とAD曲線のシフトを混同しないことです。AD曲線上の移動は物価水準が変動することによって、総需要がどう変化するかを表すものです。政府の財政出動では物価水準がどこにあっても、とにかく決まったお金を使うのでAD曲線が右にシフトするのです。その結果、実質GDPが増加し(=景気がよくなる)、物価水準も上昇することになります。

*********************

おくればせながら、明けましておめでとうございます。まだこのブログを始めたばかりですが、今年一年間投げ出さずに書き続けていければいいなと思っています。
あ、それから「クルーグマン教授の<ニッポン>経済入門」という本をamazonのユーズドストアでゲットしました。これを読めば流動性のわなに捕らえられているときに量的緩和を行うことの意味が理解できるかもしれません。

つづく