前回は多段階課税を分析する準備として製品市場の需要供給グラフと原材料市場の需要供給グラフを組み合わせた2段階市場モデル(仮)を作りました。今回はこのモデルを使って物品税の影響について調べてみましょう。ただし、いきなり多段階課税に適用するとわかりにくいのでまずは単段階課税の物品税のばあいをみてみることにします。

下の2つのグラフが単段階課税の場合の2段階市場モデル(仮)です。原材料市場では課税されず、製品市場だけで課税される場合をかいています。

上の製品市場のグラフは前々回出てきた、消費税のグラフとほとんど同じものです。
青い線が需要曲線、赤い太線が税金がない場合の供給曲線、ピンク線が課税後の供給曲線です。そして、緑三角Aが消費者余剰、水色長方形Tが税収、黄色三角形Bが生産者余剰、灰色三角Lが死荷重をあらわしています。一点だけ前回のグラフに追加されているのが赤い細線です。これは原材料の一単位あたりの費用をあらわしています。赤い太線でかかれた税金がない場合の供給曲線はいいかえれば製品の限界費用曲線ですから、赤い太線と赤い細線の差は原材料以外の(限界)費用(人件費など)をあらわしています。
つまり従価税の物品税がかけられると、供給曲線は赤太線から上にシフトし(従価税なので平行移動ではない)ピンクの線となります。需要曲線との交点はEからFに移動し価格がp0からpbに上昇、取引量はX0からXtに減少します。これにともなって政府は水色長方形Tの税収を獲得し、灰色三角Lの死荷重が発生します。
図0109_単段階課税の2段階市場モデル
このとき下の原材料市場ではなにがおこるでしょうか。製品市場での取引量の減少にともなって、原料市場での取引量(=生産量)もX0からXtに減少します。均衡点がE'からG'に移動し価格がp'0からp'tに下落します。そして、灰色台形L'の死荷重が発生します。
このように2段階市場モデル(仮)を使うと、単段階課税で課税される製品市場だけでなく、課税されていない原料市場にも死荷重が発生することがわかります。

*************************************
親知らずのはれと痛みを抗生剤でおさえこんだ状態で今週は海外出張に行ってました。出張先で痛みが出たらどうしよかと不安でしたが大丈夫でした。親知らずは来週の金曜日に抜く予定です。ちょっとドキドキします。

つづく