前回は独占企業がどのような生産量を生産し、それをいくらで販売するのかをみました。今回はそれを余剰分析してみましょう。

最初に余剰について復習しておきましょう。
モノを買うことで消費者がトクするぶんのことを消費者余剰といいました。例えばあるモノを手に入れるために4万円払ってもいいと思っている人(その人にとってはそのモノには4万円の便益がある)が3万円で買うと1万円トクするということです。そしてそれを市場全体でたし合せたものが市場全体の消費者余剰になります。
図0072_大きな市場の市場需要曲線と消費者余剰
上のグラフでみると市場需要曲線と価格線にはさまれた緑色の部分の面積が市場全体の消費者余剰です(くわしくはこちら)。
そして生産・販売を行うことによって生産者がトクするぶんのことを生産者余剰といいました。あるモノを1つよけいに生産するための限界費用が2千円のとき、3千円で売れれば1000円分トクするということです。そしてそれを生産量0から実際の生産量までたし合せたものがその企業の生産者余剰になります。
図0084_限界費用と可変費用_2
上のグラフではp1が販売価格で赤い線が限界費用曲線ですから、生産量がxのとき黄色の面積S(x)が生産者余剰になります。式で書くと
 生産者余剰 = 利潤 + 固定費用
   または
 生産者余剰 = 収入 - 可変費用
でした(限界費用曲線の下の部分の面積V(x)=可変費用です。くわしくはこちら)。
そして、消費者余剰と生産者余剰をたし合せたものが総余剰でした(政府が税金を取る場合は税収もたしますが、今は無視しておきます)。
 総余剰 = 消費者余剰 + 生産者余剰
 図0089_需要供給曲線と消費者余剰・生産者余剰
上のグラフは完全競争市場の場合ですが、需要曲線は消費者の便益(そのモノを手に入れるのにいくらまで払えるか)をあらわし、供給曲線(完全競争市場なので限界費用曲線と等しい)の下の部分は可変費用をあらわしていますので緑色の三角形と黄色の三角形を足し合わせた総余剰は
 総余剰 = 便益 - 可変費用
とあらわすこともできます。つまり、総余剰はそのモノを生産・販売することによって社会全体としてどれだけトクしているのかをあらわしています(くわしくはこちら)。

さて、それでは前回勉強した独占企業の行動のグラフで余剰を考えてみましょう。
図0127_独占市場の消費者余剰と生産者余剰
赤い線が需要曲線、青い線が限界費用曲線、P0が価格ですから、緑の三角形が消費者余剰、黄色の部分が生産者余剰になります。ここから先は消費者余剰と生産者余剰をたして総余剰で考えてみます。
図0128_独占市場の総余剰
うすい黄緑色の部分が総余剰です。かりにもう少し生産量が多かったら総余剰はどうなるでしょうか。
図0129_独占市場の総余剰(生産量増加)1
生産量がQ0からQ1に増加すると少し濃い緑色の部分だけ総余剰が増加します。さらに生産量を増やすとどうなるでしょうか。
図0130_独占市場の総余剰(生産量増加)2
生産量がらQ2まで増加すると総余剰は少し濃い緑色の部分だけ増加しますが、暗い緑色の部分は需要曲線より限界費用曲線が上にありますから総余剰にはマイナスの効果があります。したがってこの場合の総余剰は
 うすい黄緑色の面積+少し濃い緑色の面積-暗い緑色の面積
となります。これからわかるように総余剰を最大にするためには
図0131_独占市場の総余剰(総余剰最大)
生産量を需要曲線と限界費用曲線の交点の数量、Q3にすれば良いことがわかります。このとき社会全体として最も多くトクをすることになります。ところが独占企業は自分の利潤を最大にすることしか考えないのでQ0しか生産しません(なぜQ0で利潤が最大になるのかは前回の記事をみてください)。すると
図0132_独占市場の死荷重
上のグラフの灰色の部分が死荷重(または死重の損失)となり、社会全体としてその分、損をすることになります。独占企業にすきかってにさやらせておくと、たんに価格をつりあげるので消費者がこまる、というだけでなく社会全体が損失をこうむるということがわかります。

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医療費控除の還付を受けるためにe-Taxを使って所得税の確定申告をしました(還付を受けるだけの確定申告なら1月1日から受け付けています)。そこでひとつわかったことがあるので皆さんと情報を共有する意味でここに書いておきます。
それはパソコンがWindows Vistaの64ビット版だと申告書の送付ができないということです。今このブログを書いている家のパソコンがまさにそれなのですが、e-Taxのサイトにはパソコンの環境として、たんにWindows VistaはOKとかいてあるし(ここから「作成開始」→「e-Tax」と進むとその画面に行きます)、昨年は同じ環境で問題なくできていたので、当然今年も大丈夫と思ったいたのですが、申告書の入力が終わってデータを送信する段階で「HJS0407E ICカードを認識できませんでした。ICカードリーダライタの設定等をご確認の上、再度処理してください」というエラーメッセージが出て送信できません。ICカードリーダの接続を確認するためJPKI利用者ソフトを立ち上ようとすると「JPKI利用者ソフトの環境に問題があります。JPKI利用者ソフトを再インストールしてください」というメッセージが出てたちあがらないのです。原因がわからず何度もICカードリーダのドライバをインストールしなおしてみたり、JPKI利用者ソフトをインストールしなおしてみてもだめで、結局電話で問い合わせて64ビット版はダメだということが判明したのでした。確かにこちらの公的個人認証サービスのページには利用者クライアントソフト(JPKI利用者ソフト)を使うにはWindows Vistaの場合32ビット版はOKだけど64ビット版はダメって書いてありました(e-Taxのページと公的個人認証サービスのページで書いてることがちがうじゃないかぁぁぁぁ!!!)。なので本当は私用に使ってはいけないんですが会社のWindows7のノートPCを使わせてもらって送信しました。Windows Vista 64ビット版をお使いの方はご注意ください。 

つづく