前回は発電で排出される二酸化炭素を減らすための方法をみました。今回は原子力発電についてどうすればいいかを勉強します。

3-2. 原子力発電を適切に使用する(または使用しない)こと

原子力発電はふだんは二酸化炭素も出さないし、少しのウラン燃料から大きな電力量が取り出せるので電力量あたりの燃料費も安くていいのですが、2011年3月の福島第1原子力発電所のように、ひとたび大きな事故がおきると広範囲に放射性物質をまきちらしたりするので環境へ大きな影響をあたえてしまいます。

では、どうすればいいのでしょう。「危険だから原発はすべて禁止」とすればいいのでしょうか。それとも、今政府のほうで検討しているように「電力全体の20%にする」とかきめればいいのでしょうか。
前の記事でも書いたように危険だからといってすべて禁止してしまったら、そこから得られるはずの便益が失われてしまいます。また、電力全体の20%とかいっても大した根拠があるようには思えません。

経済学的な考え方としてはやはり市場の機能を使います。その前提として原発事故のように「めったにおこらないが、おこったら大きな被害が出る」ような事態に対しては発生した場合の損害を補償できるだけの保険をかけるのです。原子力発電には以前から保険がかけられていましたが、この保険は事故のときに支払われる保険金の上限は1,200億円でした。ところが今回の福島の事故では被害額が少なく見積もっても5.8兆円(政府のエネルギー・環境会議「コスト等検証委員会」による。除染費用は含まれていない)といった金額にのぼり、まったくたりませんでした。しかたがないので原子力損害賠償機構(現在は原子力損害賠償・廃炉等支援機構)という組織を作って、そこから資金を提供することによって東京電力を倒産させずに損害賠償をさせようということになりました(といっても最終的には電気料金と税金で国民が負担することになるのですが)。

なので今後は事故がどれくらいの頻度で発生して、被害額がどれくらいになる、というのを今回の事故を教訓にしてしっかりと見積もりを行い、それを補償できる保険料を原発をもっている電力会社にはらわせなければいけません。そしてその保険料は電気料金に上乗せして回収します。その場合電気代は今より高くなるでしょう。もし、これによって原子力発電のコストがその発電所をもっている電力会社の電気の価格の競争力をなくしてしまうほど高くなるのであれば、電力会社としても原子力発電を続けるメリットがないので廃炉にしていって最終的にはなくなるでしょう。
あるいは他の電源とある程度競争できるようなコストになるのであれば(炭素税の負担がないのでその点は有利です)、市場で競争することによってどれくらい使われるかが決まってきます。

3-2-1. 原子力発電に適切な額の保険をかけて、電気料金に上乗せする

繰り返しますが、「危険だから原発はすべて禁止」とか「電力全体の20%にする」とかを政治家や官僚が事前に決めてはいけません。市場の機能を使うことによって最も効率のいい(=総余剰が最大化され、社会全体でえられるトクがもっとも大きくなる)使い方が自然にできてくるのですから。

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つづく