今回は2020年までに計画されている電力システム改革と「理想の電力システム」について、停電をおこさない仕組みという観点で見ていきましょう。

以前の記事の中で理想的な電力システムが停電をおこさないようにするためにするべきこととしてあげたのは以下の項目でした。

2.停電がおきないこと
2-1. 発電事業者と需要家を市場価格に直面させる
2-1-1. 相対で確定数量契約を結ぶ
2-1-2. 前日スポット市場で需要と供給を調整する
2-1-3. リアルタイム価格による差分清算をおこなう
2-1-4. 追加発電入札によって需給調整とリアルタイム価格の決定を行う
2-1-5. ネガワット節電入札によって需給調整とリアルタイム価格の決定を行う
2-1-6. 供給過剰の場合は発電削減入札によって供給の削減とリアルタイム価格の決定を行う
2-1-7. 給電指令所を一般電気事業者から分離する


停電がおきないようにするには、発電事業者と需要家を市場価格に直面させます。これによって、需要に対して供給が不足している場合は市場価格が高くなるので、発電事業者としてはよけいに発電してその電気を売れば大きなもうけが出ますし、需要家側では節電すればその分大きなトクになります。こうして、需要と供給を一致させて停電をふせぐのです。そのための具体的な施策が2-1-12-1-7です。
2-1-1確定数量契約については前回「確定数量契約そのものを採用するという話ではないが、発電事業者がよぶんな設備をかかえる動機がなくなる、という意味で方向性は一致している」という話だけを書きました。今回はこの部分の仕組みについて教科書の記述(教科書方式と呼ぶことにしましょう)と今、経済産業省 総合資源エネル…(以下略)で検討されているもの(経産省方式と呼びましょうか)を比較して、2-1-12-1-6をまとめてどうなっているかみてみましょう。

まず、教科書方式は以下のようなものでした。
1.需要家と発電事業者が相対(あいたい)で確定数量契約を結ぶ(1時間単位)。
2.需要家は前日スポット市場で売買して翌日(使用当日)の予測需要量と契約との差異を調整する。発電事業者は前日スポット市場で余っている発電能力を売る。。
3.需要家と発電事業者は前日スポット市場がしまった時点で翌日(使用当日)の計画を確定させ、給電指令所に提出する。
4.当日になって、需要家の需要計画と実際の需要量、発電事業者の発電計画と実際の供給量との差異を測定する。
5.給電指令所は追加発電入札ネガワット節電入札発電削減入札などによって需要と供給を一致させつつ、それによって1時間ごとのリアルタイム価格を決定する。
6.4の差異をリアルタイム価格を使って清算する。つまり需要家が計画より多く使ったらその分を請求し、少なかったらその分返金する。発電事業者の発電量が計画より少なかったらその分を請求し、多かったら支払いを行う。
ちなみに、このように事前に発電量・需要量の計画を提出しておいて、それとの差分を清算するやり方を、計画値方式といいます。

次に、経産省方式です。
1.小売事業者は顧客の需要量を予測し、発電事業者との相対契約などで電力を確保する(30分単位)。
2.小売事業者と発電事業者は年間計画・月間計画・週間計画を給電指令所に提出する
3.需要家は前日スポット市場で売買して翌日(使用当日)の予測需要量と契約との差異を調整する。発電事業者は前日スポット市場で余っている発電能力を売る。
4.需要家と発電事業者は前日スポット市場がしまった時点で翌日(使用当日)の計画を給電指令所に提出する。
5.4時間前市場1時間前市場でさらに直前の調整を行う。1時間前の計画を確定させ、給電指令所に提出する。
6.その時間になって、小売事業者の需要計画と実際の需要量、発電事業者の発電計画と実際の供給量との差異を測定する。
7.給電指令所は需給調整のためのリアルタイム市場によって需要と供給を一致させつつ、1時間ごとのリアルタイム価格を決定する。
8.6の差異をリアルタイム価格を使って清算する。

7に出てくる「リアルタイム市場」は教科書方式の5に出てきた追加発電入札、ネガワット節電入札、発電削減入札とほぼ同じ内容と思われます。ちなみにこの方式は計画値同時同量制と呼ばれています。

このように見ていくと発電事業者と直接契約を結ぶのが需要家なのか小売り事業者なのか、計画が1時間単位か30分単位か、計画が確定するのが前日か1時間前か、といったちがいはありますが、基本的な考え方はほぼ同じだということがわかります。なので2-1-12-1-6はまとめて実現する予定、といっていいと思います。
あと、残った
2-1-7. 給電指令所を一般電気事業者から分離する
ですが、これも2020年の発送電分離したときには送配電事業者の中に給電指令所ができることになるので、実現する予定です。

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年金加入者情報が大量に流出したことがあきらかになりましたが(2015年6月1日)、これのとばっちりでマイナンバーの利用を預金口座とかに広げる法案の審議がおくれているようですね。早くマイナンバーで所得と資産を正確に把握できるようにして、脱税の防止や対策が必要な低所得者の把握に役立ててほしいものです。

つづく